熱中症について その1

こんにちは。院長 中山です。

気温が徐々に上がり半袖での外出が多くなってきました。

今年は電力消費量の不安もあり、酷暑とならない事を祈るばかりです。

そんな夏に向けて代表的な夏の疾患、熱中症に関して書きます。第1回として熱中症とはどういう状態か理解していただくために、体温の調節について少し説明しましょう。

熱中症とは簡単に言うと体の中の熱を上手く外に出せなくなり、高体温状態になってしまい体の色々なところに傷害を起こす事です。

イヌやネコやヒトは恒温動物といわれる動物です。恒温動物の体温は環境の温度が変化しても狭い範囲で調節されています。そのために体温調節機能があり、常に働いているのです。

左の図(クリックで拡大)では体温を上げる方向に向かうものを「入熱」、体温を下げる方向に向かうものを「出熱」としています。

この天秤が左に傾くと体温が上がるというわけです。

「入熱」の中には体の中から出る熱と、体外の環境から与えられる熱があります。

分かりやすい例で言えば運動をして体温が上がるようなものと、日差しの強い場所にいて体温が上がるようなものです。冬場に使うヒーターマットなんかは環境から与えられる熱といえるでしょう。

一方で「出熱」は外部環境に熱を逃がす事ばかりと言って良いでしょう。

ところで動物はどうやって高くなった体温を、外に逃がしているんでしょうか?

熱は体表面から蒸発・放射・伝導・対流という4つのルートで体外に移動します。

蒸発とはヒトの汗に代表される気化熱を利用したルートです。アルコール消毒で皮膚がスゥッと冷えるアレです。

しかしイヌやネコではこの蒸発しやすい汗をかく機能が発達していないため、このルートはヒトほど効果を示しません。

それでもイヌがパンティング(ハァハァと舌を出して浅い呼吸をすること)している時は気道(空気の通り道:鼻や口の中、気管など)で蒸発が起こっています。

放射とは体表面から空気中に放出されるルートです。サーモグラフィはこの熱を画像化している感じです。プレデターならいつも見えます。

伝導とは接触した物同士で熱が移動するルートで、冷えピタやクールマットはこれを利用します。

対流とは伝導や放射をサポートするルート(?)です。ゆで卵やスイカを冷やす時は流水の方が効率が良いですよね。それと同じでせっかく体外に出た熱がいつまでも体の周りに残っていると効率的ではありません。移動した熱を熱源から離す働き...伝わります?

長々と書いてきましたがこのようなルートを駆使しても、体温が十分に下げられない状態が熱中症です。そしてその高体温状態が長く続くほど、障害は深刻になっていきます。

次回は実際に熱中症のリスクの高い犬種について書いてみようと思います。