熱中症について その2

こんにちは。院長 中山です。

熱中症についての第2回は、熱中症のリスクの高い犬に関してです。

熱中症になりやすい犬は「熱を外に逃がすのが苦手な犬」と「そもそも体温調節が上手くない犬」と言い換えられるかもしれません。

まずは「熱を外に逃がすのが苦手な犬」。

皆さんよくご存知の短頭種。具体的にはフレンチブル・パグ・ブルドッグ・ペキニーズなどぺちゃんこな顔をした犬たちです。

左の写真(クリックで拡大)は短頭種の気道が狭い様子です。上の写真は頭の縦方向の断面CT像で、見て分かるように鼻の中が短くて狭くなっています。また、下の写真は喉の輪切りのCT像と、鼻の穴を喉の方から見た内視鏡写真です。CT像では黒い所が空気の通り道なので、こちらも狭いことが分かります。

犬は汗をかかないため呼吸で熱を外に逃がすルートが大事です。それがこれだけ狭いと、効率的な体温調節は難しいですね。ラジエーターが小さいためオーバーヒートしやすいと考えて下さい。

同じ理由で呼吸器系の疾患を持つ犬もリスクが高いと言えます。特に気管虚脱などは要注意。

その他の放熱ルートは体表面から起こります。そのため体表面から熱が逃げにくい犬も高リスクです。厚い断熱材(被毛)を持つ犬、皮下脂肪の厚い肥満の犬などがこれにあたります。

また、循環系の疾患を持っている犬(心臓が悪い犬)も熱中症になりやすいです。なぜなら体の内部の熱を体表面に運ぶのは血液だからです。循環器系が悪いということは、酸素だけでなく熱の輸送機能にも悪影響を及ぼすのです。

もともとは心臓や循環機能が正常でも、脱水を起こすと血液のめぐりは悪くなります。水分補給は十分にして、脱水状態にならないようにする必要があります。老犬は体内の水分量が少ない傾向にあるので特に気をつけて下さい。

次に「そもそも体温調節が上手くない犬」。

体温調節機能の未熟な子犬やそれが衰えてきた老犬です。このような犬は逆方向にも体温調節が苦手です。つまり、寒い時に低体温症を起こしやすいと言えるでしょう。

その他にも興奮しやすい犬、活動的で運動量が多い犬もリスクが高めです。体内での熱の産生が多い傾向があるからです。体の中で出る熱が体温を下げる能力の限界を超えてしまうと、今まで書いたようなリスクファクターを持っていなくても熱中症になってしまいます。

いずれかまたは複数が当てはまるようだと夏のすごし方は特に気を付けなければなりませんね。

次回は熱中症になりやすい状況について。もう少しお付き合い下さい。