こんにちは。院長 中山です。
ワンちゃんやネコちゃんの身近な予防としてワクチンがあります。
動物病院に行くのは予防注射の時だけなんて方もいらっしゃるんじゃないでしょうか?
まずはワクチンとはなんぞやってお話。
ワクチンとは生き物がもともと持っているある仕組みを利用して、感染症を予防するために使う医薬品です。その仕組みとは「免疫」と言われる外敵からの防御システムです。
細菌やウィルスなどが体内に侵入した時またはしようとした時に、攻撃してやっつける自分防衛軍とも言える働きが「免疫」。抵抗力なんて言葉でも表現しますね。
ヒトも含めて動物の体に病原体が入り込んだり、入り込もうとした場合に、免疫システムが働きこれを排除しようとします。
そこで戦いが起こるわけですが、この戦いに負けてしまうと病原体の侵入・増殖を許し病気の状態になってしまいます。この戦いに勝つことができれば病原体にさらされても、病気を発症することなく健康な状態を保てます。
クラスのみんなが風邪をひいていく中で、一人だけピンピンしている人はこの体の中の戦いに勝利した人です。免疫力が強いと言えるでしょう。
一般的に幼弱または老齢の動物は、この免疫力が弱い傾向があります。
この免疫システムには面白い特徴があります。
一度出会った敵は覚えておく、免疫的な記憶システムです。この特徴のおかげで体が覚えている病原体に対しては、より早くより強い免疫反応(攻撃)がおこります。
水疱瘡などは一度かかったらもうかからないと言うのはこのためです。実際には絶対かからないわけではなく、感染(体内に侵入)しても発症する(病気の症状が出る)ほど増殖できないことが多いということです。
ワクチンはこの特徴を利用して、感染症の発症を予防しています。
病原体との出会いの機会を人為的につくっているのです。
この時、本物の病原体を使うと病気にかかってしまう確率が上がるので、ワクチンの中には毒性を弱めた病原体や病原体の特徴的な一部が入っていたりします。
ですからワクチンをうっていれば100%絶対その病気にかからないというわけではありません。
厳密に言うとワクチンは特定の病気にかかり難くし、またたとえかかっても症状が重症にならないようにするものと考えると良いですね。
次回からはどんなワクチンをどのようにうつのが良いかをイヌとネコに分けて書こうと思います。