猫の尿路閉塞症

こんにちは。院長 中山です。

今回は前回の続き、尿路閉塞症についてです。

尿路閉塞症の時の症状は下部尿路疾患の時と同様なので、おさらいを兼ねて右の図を参照して下さい。

尿路閉塞症とはその名の通りオシッコの通り道が詰まってしまい、オシッコを体の外に出せなくなってしまう状態のことです。

前回書いたようにこの状態は、処置が遅れると短期間で命を奪う危険な病気です。なぜ、緊急性があるかというと...。

 

そもそもオシッコは体の中で出る生き物に有害な物質を、体外に捨てるという役割があります。

この機能を担う組織として泌尿器系があり、腎臓→尿管→膀胱→尿道という構成になっています。腎臓~尿管までは左右一対あり、膀胱で合流します。

①腎臓でオシッコを作り②尿管を通って③膀胱に一度溜めて④尿道から外に出すという仕組みです。

この経路の中で尿道が詰まり、オシッコが出なくなる状態が主に尿石症によって引き起こされます。特に尿道が長くて細い雄猫での発生が多い病気です。

 

腎臓で作られたオシッコは膀胱に溜まっていきます。通常は膀胱がオシッコで膨らんでくると尿意をもよおし排尿が起こります。

ところが尿道が詰まっているといくら踏ん張ってもオシッコが出せません。そうこうする内にもオシッコはどんどん溜まっていきます。腎臓は休み無く少しずつオシッコを作っているからです。

膀胱は伸縮性の高い臓器ですが、やはり限界があり最終的にはオシッコを受け容れられないほどにパンパンに膨らみます。

そうすると腎臓は受け容れ先が無いためオシッコが作れなくなってしまいます。

オシッコが作れないので本来はオシッコの中に捨てるべき有害物質が、体の中に溜まっていきます。

この状態を尿毒症と呼び生命を脅かす危険があるのです。

 

この状態を脱するためには、まず詰まった尿道を開通させなければなりません。オシッコの出るルートを確保するのです。これが第1段階。

その次に体の中に溜まった有害物質を外に出さなくてはなりません。このために点滴をして血液のめぐりを良くし、オシッコをどんどん作る態勢にします。これが第2段階。

またオシッコでパンパンに膨れた膀胱は引き伸ばされており、方々が傷んだ状態にあります。それを回復させるために、しばらく膀胱をしぼんだ状態に保つ必要があります。これが第3段階。

そして平行して詰まった原因の予防措置を講じなければなりません。多くの場合は尿石症のため、石を作りにくくするフードに切り替えます。

 

状態の悪化は時間と共に進みます。オシッコを出せなくなってから長い時間が経つと、それだけ回復に時間がかかり時には回復不能となってしまいます。

普段より頻繁にトイレに行くのにオシッコが出ているのが確認できない、またはチョロチョロしか出ていない様だったら早急に動物病院に連絡をして受診しましょう。

 

左の写真は尿路閉塞症を発症した猫のオシッコです。全体にオレンジ色で出血があることを示しています。また下のほうに溜まっている白っぽい部分は砂粒状の結石です。

この結石が尿道に詰まってしまうのです。いかにも詰まりそうですよね。